母乳は虫歯にならない??BLOG
2021/11/16
こんにちは!『家族みんなのかかりつけの歯医者さん』小倉南区下曽根のたんぽぽ歯科・矯正歯科の院長の吉用です。
今回は『母乳は虫歯にならない??』という内容でお話ししたいと思います。
生後6か月頃になると、下の前歯が生え始めてきます。初めての子育てで、子どもに虫歯を作りたくないと思うものの、インターネットで調べると母乳は虫歯になるという記載のあるものや、虫歯にならないという記載のあるものもあり、何を信じて良いかわからなくなってしまうことも多いようです。
結論から言いますと、母乳で虫歯になります!!
それでは詳しく解説していきたいと思います。
●母乳単独では虫歯にならない
先程の『母乳で虫歯にならない!』という文章と異なり、えぇ!?となるかもしれませんが・・・その理由を解説いたします。
① 歯を溶かすpH(5.5)よりも母乳は6.6から6.8程度とアルカリ性に近い
② 母乳には乳糖という糖分が含まれており、虫歯菌が取り込むと酸を吐き出しますが、砂糖(ショ糖)と違い、ネバネバと歯の表面にくっつく成分(デキストラン)が一緒に出てきません。
そのため、長く表面に虫歯菌が付着することができず、唾液で流されてしまいます。
つまり、歯が溶ける時間が短くなります。
③ 母乳にはラクトフェリンと呼ばれる抗菌物質が含まれているため、虫歯菌や歯周病菌の増殖を防いでくれます。
以上の理由から母乳だけでは虫歯にはならないのです。
では、なぜ最初にお話しした母乳は虫歯になるという結論に至るのかを解説していきたいと思います。
歯が生え始める前後になると、離乳食が少しずつ始まるかと思います。その食べ物やおやつ、ジュースなどから砂糖がお口の中に入るようになってくると、虫歯菌がネバネバとしたデキストランを出してくるため、歯の表面に住み着きやすい環境ができてきます。
そうなると、母乳であっても、そこに含まれる乳糖を虫歯菌が取り込み、歯の表面を溶かしてしまいます。
また、母乳の場合、粉ミルクなどの人工乳よりも授乳回数が多い傾向があるため、歯が溶かされる時間が長くなりやすくなります。
以上から、母乳であっても虫歯になってしまうのです。
これまで診察してきたお子さまで、母乳しか与えていなくても虫歯になっているお子さまはいらっしゃいます。
つまり、離乳食が始まるようになると、虫歯リスクが上がってくるのです。離乳食が始まってからは、少しずつ卒乳に向け頑張っていく必要があるかと思います。
卒乳はお子さまとのコミュニケーションとしても大切だと感じておりますので、ゆっくりで大丈夫と思っておりますが、虫歯を予防するという点で言えば、1歳半の頃までに卒乳できているのが理想かと思います。
その理由としては、1歳半以降では食事やおやつに含まれる砂糖の量が増えてくるため、さらに母乳(人工乳も一緒です)が合間に摂取されると虫歯リスクが格段に上がります。
低年齢で虫歯を作ってしまった場合、安全、確実に治療することは非常に困難であり、2歳児の歯科治療で死亡例もあるため、大変注意の必要な治療となってしまいます。
●離乳食が始まってから気をつけて欲しいこと
・仕上げ磨き
先ほどもお話しした、虫歯菌が出す歯表面に付着するネバネバは早い段階では簡単に除去することができます。これが蓄積してくると、こびり付き、簡単に取れなくなってしまいます。ですので、毎日コツコツと仕上げ磨きをしてあげてください。
こちらに年齢別の仕上げ磨きについて解説しておりますので、ぜひご覧ください。
リンク:年齢別の子供の仕上げ磨きの方法
・砂糖の摂り方・与え方に注意する
母乳そのものは虫歯になることはできなくても、砂糖が関わってくると母乳も虫歯になってしまいます。ですので、食事に砂糖を含め調理することは避けては通ることができませんので、これはあまり気にする必要はないかと思いますが、砂糖を含むおやつやジュースを可能な限り覚えさせない、覚えてしまっている場合には頻度を減らす、時間を決めることが非常に大切になります。
過去のブログで砂糖について詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
リンク:虫歯の原因となる砂糖について
・フッ素による歯の強化
フッ素は虫歯菌の働きを弱め、歯を強化してくれる大きな力を持っています。ですので、日頃は歯磨き粉に含まれる低い濃度のフッ素を効かせ、定期的に歯医者さんで高い濃度のフッ素を歯に取り込んであげることで、虫歯になりにくい環境を作っていくことをオススメします。
こちらも過去のブログでフッ素について解説しておりますので、ぜひご覧ください。
リンク:フッ素は塗ったほうがいいの?
インターネットでは様々な専門の方が母乳と虫歯について解説しているため、歯科医師以外の方の解説では母乳は虫歯にならない!と記載して、歯磨きを頑張れば大丈夫という意見が多いと感じています。
しかし、私自身も子育てを経験し、歯科医師という立場で言えば、3歳頃までお子さまが仕上げ磨きを完璧にさせてくれることは少ないと感じています。(もちろん、ものすごく上手なお子さまもいらっしゃいます)
また、歯は構造的に大変複雑で、歯ブラシの毛先が入らないような溝や歯と歯の間があります。そこには虫歯菌は入り込むことができますので、完全に歯磨きで虫歯菌をゼロにすることは理論上無理です。
ですので、砂糖とうまく付き合いながら、フッ素を活用しつつ虫歯を予防していくことが一番の予防だと考えております。
何かお悩みや不安などございましたら、お気軽にご相談くださいね♪
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家族みんなのかかりつけの歯医者さん
たんぽぽ歯科・矯正歯科
院長:吉用 卓(よしもち たく)
国立大学 長崎大学歯学部出身
福岡県北九州市小倉南区沼本町1丁目10-2
HP:https://www.tanpopo-kokura.jp
TEL:093-475-4182
歯並び 審美 ホワイトニング 親知らずのご相談随時受付。
診療科目:一般歯科 口腔外科 小児歯科 矯正歯科
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